オンライン試験でカンニングは防止できる?不正対策方法を解説

公開日:2023/07/15  最終更新日:2024/02/19

試験を行う際、カンニング等の不正行為はほとんどの試験会場で起こってしまいます。セキュリティや監視システムのレベルが高ければ、未然に防ぐのは可能かもしれません。まずはどんな不正行為があるのかを把握し、それぞれに合った対策を実施しましょう。不正行為の種類や、不正行為を防ぐための方法を紹介するので、ぜひ最後まで読んでください。

オンラインテストとは?

オンラインテストとは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを使用してインターネット上で受験する試験です。もともとは海外で発展しましたが、会場を必要とせず、場所を選ばずに実施できるテスト形式として急速に普及しているでしょう。

そんなオンラインテストは、次の2つに分けられます。受験者が会場に集まり、用意されたパソコンから受験するCBT(Computer Based Test)と、受験者自身のパソコンを利用し自宅でも試験を受けられるIBT(Internet Based Testing)です。どちらもほぼ同義ですが、CBTは指定会場で実施するため、監視による不正対策ができるのが特徴です。

ここでは、IBTのオンラインテストに焦点を当てて解説します。

オンライン試験の普及要因

オンライン試験の急速な普及のきっかけとして、新型コロナウイルスにより一斉に受験者が集まって行う従来型の試験が難しくなったことが挙げられます。感染拡大を防ぐために密を避ける必要性が高まりました。試験が実施できない状況を踏まえて、試験主催者や機関は新しい実施方法としてオンラインテストを急速に採用しています。

また、試験や検定がオンライン化する背景には、情報通信技術(ICT)環境の進展が挙げられます。パソコンやタブレット端末の普及とともに、高速で安定したインターネット環境の整備が進んだことで、オンラインテストを実現する基盤が整ったといえるでしょう。

オンラインテストの導入は、資格検定から企業の採用試験、学校の模試まで多岐にわたります。資格・検定機関が提供する検定試験だけでなく、企業内での昇進昇格試験や学校の休校期間における校内テストでも、オンラインテストが一般的になりつつあります。

オンラインテストを実施するメリット・デメリット

急速に普及が進んでいるオンラインテストですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。具体的なメリット・デメリットを把握して導入を検討しましょう。

オンラインテストのメリット

オンラインテストには、数多くのメリットがあります。まず、全国どこからでも受験できるため、受験者にとって利便性が向上します。たとえば、地方在住者は遠くの試験会場に足を運ぶ必要がなく、手軽かつ効率的に試験を受けられるでしょう。

また、主催者側にも多くのメリットがあります。具体的には、会場の用意や設営、人員の手配などが不要となり、試験実施に伴う作業や運営コストが大幅に削減できます。人件費や印刷費、会場設営費などが削減でき、少ない工数で試験を実施できるでしょう。

ほかにも、データの一元管理が容易な点もオンラインテストならではです。試験の問題や受験者の回答データがオンライン上で統一管理されるため、採点や結果発表が即時に実施でき、効率的な運用が可能です。また、データの一元管理により、詳細な分析ができ、受験者の傾向や試験の品質向上に役立ちます。

上述以外にも、オンラインテストのメリットは多岐にわたります。スマホやタブレットからも容易に受験可能な状態を提供することで、より多くの人が試験を受験しやすくなるでしょう。災害や非常事態などにも強く、不測の事態に備え、今後もオンラインテストのニーズは高まると予想されます。

オンラインテストのデメリット

オンラインテストは多くのメリットがある一方で、カンニングや替え玉受験などのデメリットがあります。具体的には、オンラインテストでは自宅など、どのような環境でも試験を受けられるため、受験者が教科書や参考書を使用して調べながら回答するなどのカンニング行為が発生しやすくなります。また、試験監督の不在により、他者が受験者本人になりすまして試験を受けたり、代理で試験に臨む替え玉受験が発生しやすくなるでしょう。

課題を解決するために、現在さまざまな技術や手法が検討されており、本人認証や顔認証、Webカメラによる遠隔監視などが導入されつつあります。たとえば、創価大学通信教育部では、コロナ禍の中で本人認証機能を導入したオンラインテストを運用しており、試験前と試験中の顔認証を通じてなりすましや替え玉受験を防止しています。

オンラインテストをスムーズする4つのポイント

オンラインテストをスムーズに進行させるためには、以下のポイントにも留意する必要があります。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

オンラインテスト方法を事前レクチャーする

まず、オンラインテストに慣れていない受験生と慣れている受験生とのギャップを埋めるために、事前に入試の流れやシステムの操作方法に関する情報を提供することが欠かせません。受験生がオンラインテストに適応できるように事前にわかりやすく説明することで、受験者の不安を軽減できるでしょう。

また、オンライン環境では、受験者の通信環境やパソコンのスペックによってアクセス速度に差が生じる可能性があります。公平性を損なわないようにするために、主催者側は採用するシステムやプラットフォームが低スペックのデバイスでも適切に動作するよう確認が必要です。アクセスが集中するとサーバーが落ちやすくなる問題に対処するために、高い耐久性を持つサーバーを導入し、システムの安定性を確保しましょう。仮にサーバーダウンしても、予備のサーバーを用意して、テスト中断のリスクを最小限に抑えられるようにすることが大切です。

不正対策を実施する

オンラインテストでは、受験者が試験中にどのような行動をとっているかを確認することが難しいため、不正行為への対策が求められます。システム上で試験の開始と終了を明確にし、厳格な時間制限を設け、指定された試験時間外に解答ができないようにするのもよいでしょう。

また、Webカメラを利用して受験者が試験を受ける環境を確認するために、リモート監視システムを導入することが有益です。ほかにも、不正行為を防ぐためには、オンラインテストを外部の試験会場で実施するなどの検討も必要です。試験会場では多くの受験生たちがいるため、不正行為のリスクが低減します。

試験当日のサポート体制を整える

試験当日に発生するかもしれない予測できないトラブルに備えて、サポート体制を整えることが重要です。ログインの問題や画面表示のトラブルに対処できるサポート担当者を配置し、スムーズな進行をサポートしましょう。

たとえば、ログインに問題が生じた場合、オンラインテストを受けられるかどうか不安に思う受験生も多いでしょう。専門のサポート担当者が電話やチャットで迅速な解決策を提供し、受験者自身が自力で解決できる手順を分かりやすく案内し、必要に応じて、再試行のサポートを提供します。

その際、受験者が突発的な理由で受験できない場合に備え、予備日の連絡体制も整えましょう。受験生が不測の事態に柔軟かつ迅速に対処できる環境を整えることで、受験生の不安を軽減できます。

外部委託を検討する

オンラインテスト運営には、多岐にわたる業務が発生します。運用業務における一部を外部に委託することで、スムーズで信頼性の高い試験環境を構築できるでしょう。

具体的には、オンラインテスト運営全般の委託や試験監督のリモート監視委託、サポート・コールセンターの委託などが挙げられます。運営全般では、試験問題の作成から受験結果の通知まで一貫して外部に任せることで、効率的な運用が可能です。主催者側はオンラインテストの品質向上だけでなく、ほかの業務にもリソースを割り当てられます。

また、サポート・コールセンターの委託では、試験期間中や直前における問い合わせやトラブルに、迅速かつ適切に対応できます。サポートや電話対応の業務を外部に委託することで、試験期間中に発生する業務を効果的に軽減できるでしょう。

オンライン試験とは

オンライン試験とは、オンライン上で試験を受ける方法のことをいいます。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに導入する学校や企業が増えており、インターネットを介して試験を受けることから場所を選ばないのがメリットです。

またオンライン試験には、CBT(Computer Based Testing)とIBT(Internet Based Testing)の2つにわけられます。前者は定められた会場で行い、後者は自宅など場所を自由に選んで行うため、同じオンライン試験でも特徴が異なりますが、人件費がかからないことやデータ管理の容易さなどは共通しています。

近年は「AI監視システム」といって、監視カメラにAIを搭載したオンライン試験を行っているところもあります。従来の監視カメラとは違い遠隔地で監視できるため、会場に専任の担当者を準備する必要がありません。必要な情報の見落としが防げるのも大きなポイントでしょう。

そもそも、なぜ試験のオンライン化が進んでいるのでしょうか。昨今はコロナ禍が要因となっていますが、PCやタブレット端末の普及やインターネット環境が整備されたことも背景のひとつとして挙げられます。いわゆる、ICT環境の進化です。

万が一の事態に備えてオンラインで試験が受けられるのは、今後も益々需要が高まるでしょう。

オンライン試験の課題となるカンニング等の不正行為

どのような不正行為があるか紹介します。

インターネットで情報を得る

パソコンを使用してオンライン試験を受験する際、スマホやタブレットを利用して情報を得るケースがあります。

一回の検索であらゆる解答を得られるため、考える手間がかかりそうな問題でも、時間をかけずに解答を記入できますし、近年でも少しずつ増えてきている手段です。また画像検索も簡単に出来るため、より高度なやり口の不正行為にもつながっています。

カンニングペーパーの使用

監視システムが実施されていなかったり、監視の目が厳しくない場合、事前に作成したカンニングペーパーを使用するケースもあります。

気づかれにくくするために、じゃばら状にしたり丸めて小さくしたり、筆箱の中や解答用紙の裏に忍ばせたり、パソコンの近くに起きながら見る方法です。自分の手のひらにできるだけ答えを書き、それを見ながら解答するという方法もあります。

周りの人に聞く

オンラインで自宅で受験する際、周りにいる人に答えを聞くというのもあります。監視の目が行き届かないオンラインだからこそ行える不正行為です。

また受験者同士で集まり、互いに答えを教え合いながら問題用紙を埋めるという方法もあります。同じ問題を解く受験者同士なので、問題の内容や答え方などを把握していますし、スムーズに情報交換ができるため、時間が限られた中でのやり取りとしては重宝されるでしょう。

人の解答を見る

カンニングに関する不正行為として、とくに多発しているのが人の解答を見るという行為です。監視システムや監視の目が厳しくても、隣や前を見るだけなら怪しまれるリスクは少なくなります

タイミングが合わず、なかなか解答が見られなかったり、見た答えが合っていない場合もありますが、とにかく全ての解答欄を埋めたいなら、目立った動きをせずに自然にカンニングができる方法がやりやすいというのが理由です。

替え玉受験をする

なりすまし受験とも言いますが、受験する自分の代わりに、別の人に試験を受けてもらう方法です。

本人確認のやり方がずさんだったり、受験票の改ざんに職員が気づかなかったりすると、別人だとばれずに試験会場に入れるため、替え玉受験をする受験者の存在は少なくありません。オンライン試験の場合、本人確認はWebカメラで実施するため、より本人かどうかを確認するのが困難になってしまいます。

オンライン試験で不正行為防止するための方法

不正行為を防止する方法を紹介します。

Webカメラを利用する

受験者が使用するパソコンに内蔵、または設置されたWebカメラを利用すれば、受験者の様子を監視できます。

監視員がリアルタイムで監視できるため、挙動不審な動きをしていないか、カンニングペーパーなどのアイテムを使用していないかなど、ひとりひとりの様子を詳細にチェックできますし、画角を広くし死角をなくしておけば、不正行為そのものをできにくくなるので効果的です。監視員が数人いなくてはなりませんが、不正行為を防止するためには必要になります。

録画機能を利用する

もし監視員の人数を確保するのが難しい場合は、試験の様子を録画し、試験終了後にチェックするという方法もあります。録画した映像を監視員が確認し、不正行為をしている受験者を見つける事が可能です。

映像だけでなく、音声も録音しておけば、周りの誰かと答えを教え合っていないか、通信装置などを使用し、外部の誰かから答えを教えてもらっていないか、周りの受験者と私語をしていないかなど、より詳細にチェックできます。このような方法を実践できるのは、オンライン試験ならではです。

AIを利用する

リアルタイムで受験者の不正行為をチェックしたい場合、AIを利用するのも効果的です。Webカメラと合わせて利用すれば、不審な動きを自動で感知、検知できます。

不自然な目の動きや怪しい動きだけでなく、パソコン画面そのものを監視し、別の画面を開いて答えを検索していないかなど、あらゆる角度から監視や感知や検知が可能です。全受験者の様子を広く監視できるため、監視員が数人しかいなく人手不足でも、注意や指摘などをリアルタイムで実施できます。

カンニングによって引き起こされるリスク

カンニングさえすれば簡単に試験に合格できるとなると、受験勉強をして試験に挑むという行為自体を無駄だと思ってしまったり、努力するという事を放棄してしまう可能性があります。

楽をしても結果が出るという考えは、大人や社会人になった際に自分自身にとって不利な形となり得ますし、そのような人間を増やさないためにも、カンニングを含む不正行為はなんとしても防がなければなりません。

AI監視はカンニング防止に有効

オンライン試験は、定められた会場や自宅などで実施されるため、従来のような試験会場に赴き受験する必要がありません。そのため会場費や人件費といったコストがかからないのがメリットです。

しかし一方で、監視の目が手薄になりやすいデメリットがあります。実際、替え玉受験やカンニングといった課題も問題視されています。

そこで注目されているのが「AI監視システム」です。ここでは、導入することで得られるメリット・有効性・問題点などを紹介します。

AI監視システムとは

AI監視システムは、監視カメラにAIを搭載し、撮影や分析を行うシステムです。従来の監視カメラと異なる点は、遠隔地から監視できることや専任の担当者がいなくても必要な情報を収集できることなどが挙げられます。

またAI監視システムは長時間の監視が可能なので、延々とモニターを見続ける必要がありません。「人の監視」では叶わないようなことも、AI監視システムなら簡単に行え、ヒューマンエラー防止の観点からも有利になりやすいでしょう。

ようするに、オンライン試験による替え玉受験やカンニングを防げるわけです。

導入するメリット

人による監視でも一定水準の不正防止にはつながりますが、あくまで人が監視を行うため、どうしても限界があり、必要な情報を見落としがちです。とくに受験者数が多い場合、監視員を増やさなければいけなくなり、人件費もかかってしまうでしょう。

しかしAI監視システムなら人が不要なので、受験者数に関わらず隅々まで監視することができます。万が一不正行為が発覚すれば、自動で感知し検出してくれるのも大きなメリットでしょう。システムによって機能性は異なりますが「物体検知AI」「パソコン画面認知AI」「目線感知AI」などがあり、不自然な動きをすればすぐに検知されます。

ほかにも、人物認証による替え玉受験やなりすましも防止できます。申込み時に顔写真付きの書類を提出するので、たとえ髪型やメイクを変えても瞬時に判断してくれるでしょう。

問題点も存在する

一方で、AI監視システムには「完璧ではない」デメリットがあります。一定水準で大量の作業をこなすことはできますが、人のように正確性はありません。たとえ学習機能を備えたAIでも、人とまったく同じ性能を持つことは不可能です。

このように、すべての監視をAIに任せるのは少々問題になってきます。ただし、人の監視(録画)+AI監視システムにすると問題点は解決されます。2つの確認ができるので、AIだけに頼るよりは不正行為を見つけやすくなるでしょう。

ようするに、リアルタイムの監視はAIが行い、試験終了後は人が録画を確認します。受験者へ注意喚起するのも有効な手段といえます。

まとめ

カンニングをして仮に試験に合格しても、それは自分の実力とはいえません。試験勉強をして得た知識ではなく、その場しのぎの、いわば使い捨ての知識となるため、ひとつも自分のためにはなりませんし、合格した後も不正行為を繰り返していくしかなくなります。

もし不正行為が見つかった場合、後悔しか残りません。今の時代、さまざまな不正行為がありますが、それらの不正行為を防ぐためにあらゆる対策が練られています。人手不足などにより監視しきれない場合もありますが、そこはAIを導入し、上手く活用しながら不足している部分を補うようにしていき、受験者のためにも不正行為は未然に防ぐようにしましょう。

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システム名Online Test Center(オンラインテストセンター)Remoty AI+リモートテスティング(Remote Testing)スマート入試OnVUEウィズダムベース(WisdomBase)エクサート(Excert)
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