試験をオンライン化するメリットとは？

コロナ禍をきっかけにオンラインでの活動が普及し、さまざまな企業がオンライン化を目指すなど需要が高まっています。近年では試験もオンライン化が進んでおり、在宅でも受けることができるようになりました。この記事では、オンライン試験が普及した背景やメリット、リスクについても紹介します。

オンライン試験の需要が高まっている背景

昨今、世界的に流行したコロナウィルスの影響によって、３密と呼ばれる密閉、密集、密接の３つの密を避けなければならないという風潮に世の中全体が変わりました。

ひとつの試験会場にたくさんの人が集まる試験方法はまさに３密であるため、感染予防の観点から従来通りではいけないのではないかということになりました。コロナウィルス流行当初は、人と人とが距離を取るソーシャルディスタンスの確保や換気による空気の入れ替えなどが重要だとされていました。

そこで従来の試験方法では密室であるうえに受験者同士が距離を取ることができないということもあって、感染対策が不十分だという結論に至ったのです。

実際に受験生の間で感染が広まってしまった事例もあり、密室の空間でたくさんの受験生に試験を受けさせるのは危険であるとされていました。多くの大学や企業は感染対策のために対応せざるを得ず、たくさんの課題を抱えながらも試験をオンライン化することに踏み切ったのです。

オンライン試験は徐々に大学や企業に導入、実施されており、現在では来校試験を受けるかオンライン試験を受けるか選べるところも。普及する以前はオンラインで試験？と思う人もたくさんいましたが、今ではオンラインというツールはとても便利で利用しやすいものに変わっています。

試験をオンライン化するメリット

オンライン試験とはタブレットやパソコンを用いて試験を受ける方法のことですが、具体的にどんなメリットが得られるのでしょうか。

︎コストを削減できる

従来の試験方法ではあらかじめ受験票や問題用紙、解凍用紙などを準備しておく必要がありました。印刷から配送、管理などにコストがかかっていました。

オンライン試験では当日の試験会場の会場費や監督の人件費などもカットすることができます。さらに試験を受ける側にも交通費がかからないといったメリットも。試験会場が遠方であるほど交通費もかかってしまうため、自宅で受験できればかなりお得になるといえるでしょう。

︎手軽に受験できる

従来の試験方法では受験票をもらったり試験会場に足を運ぶなどの手間がかかっていましたが、オンライン試験ではタブレットやパソコン等があれば自宅にいながら簡単に試験を受けることが可能です。試験時間ギリギリまで自宅で勉強することも可能ですし、睡眠時間を確保することもできてしまいます。

︎多様な問題に対応できる

従来の筆記試験では用紙に文章や図形が記されていることがほとんどで、出題できる問題の種類や内容に限りがありました。

しかし、オンライン試験では動画や音声による出題も可能になります。これまでは実施できなかった能力試験などを取り入れることもでき、新しい指標を得る機会が増えるきっかけにもなるでしょう。

︎災害などの非常事態でも難なく受験できる

従来の試験方法では、台風などの悪天候や自然災害によって交通機関に支障が出て試験会場に向かうことができなくなってしまうといった問題がありました。オンライン試験であれば自宅にいながら安全に試験を受けることができ、交通機関を利用せずに済みます。

オンライン試験で起こりうるリスクとその対策

手軽で便利な一方、オンライン試験はさまざまなリスクを抱えているのも事実です。どのような不正やリスクが考えられるのでしょうか。また、その対策についても解説します。

カンニング

自宅で試験を受けるため試験監督が現場におらず、手元に参考書やスマホを置いて回答を調べるなどといったカンニング行為が可能になってしまいます。カンニング対策として、受験中はカメラ監視を実施したり実際にライブで試験監督が受験者や周囲の環境を監視するオンラインプロクタリングという方法があります。

替え玉、なりすまし受験

替え玉、なりすまし受験とは他人が自分の代わりに受験する、または自分が他人に代わって受験をすることです。こういった不正は犯罪として扱われるケースもあり、処罰の対象となります。

顔が見えないオンラインでは替え玉、なりすましを見抜くのは難しいと思われがちですが、対策として顔認証機能をつけたりeKYCを導入するといった方法があります。顔認証では事前に撮った本人の写真と受験時にwebカメラで撮影した画像が同一かどうかをコンピューターが判断します。

eKYCはこれまで免許証などの顔写真付きの身分証と本人の顔を直接確認するといった方法をとっていましたが、本人書類の画像とwebカメラの顔画像を照合することができます。この防止策は国家資格取得試験のどの重要性が高い試験で多くみられます。

試験問題の流出

通常の試験と同様に、試験問題の流出はオンライン受験でも起こり得る不正行為です。対策として試験問題のページのコピー、ペーストや印刷機能の操作を禁止できるシステムを利用することが効果的です。

また、受験生全員に同じ順番や選択肢で出題しないことも情報漏洩の不正の対策になります。

まとめ

コロナ禍の影響によって普及が加速したオンライン試験について紹介しました。試験の主催側も受験側にとっても多くのメリットがあり、従来の試験方法に代わる新しい形式としてオンライン試験の需要はますます高まっていくことでしょう。リスクを上手に回避することができれば今後、試験も気軽に受けることができるようになります。