オンライン試験が広がってきている背景とは?

公開日:2023/10/16  最終更新日:2024/02/19

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、これまでのようなペーパーテストを受けるのが難しくなりました。それに伴い、オンライン試験を導入している学校・企業も少なくないでしょう。

一見簡単なように見えるオンライン試験ですが、実際はどうなのでしょうか?

今回は、オンライン試験が広がっている背景と、同時に起きている不正行為について紹介しています。不正行為を防ぐために行われている対策についても説明していますので、オンライン試験について知りたい方は参考にしてみてください。

試験のオンライン化が進んでいる背景

ひと昔前までは、試験といえば一斉にペーパーテストを受けていました。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンライン試験を行う学校が増えてきています

もちろんそれは、学校に限ったことではありません。さまざまな場所でオンライン化が普及しています。

ここでは、試験のオンライン化が進んでいる背景について説明します。

一番の原因はコロナ禍

少しずつ今までどおりの生活に戻りつつありますが、それでもオンライン化の普及は広がっています。試験のオンライン化が進んでいる一番の原因は、冒頭でも述べたとおり「コロナ禍」にあります

2020年から2022年にかけて拡大した新型コロナウイルス感染によって、人との接触が避けられるようになりました。

外出時はマスクを着用し、手洗いうがいが強化され、さらにはお互いの顔をあまり知らずに学校を卒業した子どもも少なくありません。こういったコロナ禍の影響は、学校だけでなく企業にも及びました。

また、PCやタブレット端末の普及でインターネット環境が整備されたことも大きいでしょう。ようするに、試験をオンライン化する下地が十分だったわけです。

コロナ禍の鎮静でペーパーテストを再開しているところも増えていますが、現在もなお、オンラインを導入している学校・企業は少なくありません。

成功させるポイント

オンライン試験の内容は、学校における模試や校内テストをはじめ、高校・大学受験などが挙げられます。ほかにも、各種検定試験・企業の採用試験・昇級試験などもオンライン化が進んでいます。

PCとタブレット端末があれば簡単に導入できますが、円滑に運用するためにいくつかのポイントがあります。

まず、主催者側は試験方法や流れを理解することです。PCやインターネットの扱いに慣れていないと、スムーズに試験が実施できません。事前にレクチャーしておくことで受験者の不安を払拭できるでしょう。

次に十分なサーバーを確保することです。一度に多くの人が試験を受けるため、小規模のサーバーはダウンしてしまいます。大規模接続でも耐えられるようにしっかり準備しておきましょう。

試験当日は、不測の事態に備えてサポート体制を整えておくと安心です。

全国学力テストもオンラインへ移行

2021年度から、全国学力テストはオンラインへの移行を試行・検証していこうという動きが始まっています。実際には、約100校を対象にCBT形式が用いられたテストを2021年度から進めています。

その後の代表的な事例となるのは、2025年度の全国学力テストに関してです。当テストでは、中学生を対象とした理科の試験がオンライン化されます。この理科の試験は、生徒一人ひとりに配備されている端末を使い、CBT形式で試験が行われます。国内の大規模なテストで、CBTが本格的に活用されるのは初めての試みです。

音声や映像を使って出題できる、CBTのメリットが活かされた問題も出てくる見込みです。実際には、理科の実験や観察の動画を視聴させたうえで回答させるような問題が、このテストでは一部出題される可能性があります。

CBT化に関しては、教育データサイエンスセンターが今後大きな役割を担っています。当センターは、2021年に日本の教育データ分析・研究、成果共有の拠点として設置されました。

教育DXの目的である「生徒個人の習熟度に合わせた教育の実現」に向け、当センターは教育データや取り組みを共有するための基礎整備や、教育データ分析・研究の推進などといった役割を担っています。教育データ分析・研究に関しては国や地方自治体に向けての支援も行っていく方針であり、体制が強化されることが期待できます。

オンライン試験に移行するメリット

オンライン試験のメリットは、オンライン上で試験が受けられるだけではありません。

ここでは、導入することで得られるメリットについて紹介します。

主催者にとってのメリット

試験を行うには、会場の手配はもちろんのこと、スタッフ・問題用紙・受験票などさまざまな費用がかかります。しかしオンライン化するとこれらの準備が不要になるため、コストが削減されます。環境への配慮にもつながるでしょう。

採点・結果発表が短縮されるのも大きなメリットです。従来の試験は、数名のスタッフが受験者一人ひとりの採点・結果集計を行っていました。

そのため、合否を発表するまでに一定の時間が必要になります。オンライン試験は同時に作業できるだけでなく正確性も高いので業務効率もアップするでしょう。合否通知の発送も不要です。

ほかにも、データの一元管理・分析・問題出題の多様化・漏えいリスクの軽減などのメリットがあります。なかでも問題出題の多様化は、音声や動画を使った出題も可能なることで、これまで不可能だった能力試験も実施できるようになります。

受験者にとってのメリット

受験者にとっても、試験のオンライン化はメリットだらけです。

なかでも「試験が受けやすい」のは大きなポイントでしょう。場合によっては遠方からでもオンラインをとおして試験が受けられるので、試験会場に行く交通費も削減できます。とくに自宅型テストは受験者のメンタル的にもよい影響を与えてくれます。

そのほか、災害や非常事態でも予定どおり試験が受けられるのもメリットです。

オンライン試験を実施する際の課題

一方で、オンライン試験にはいくつかの課題もあります。代表的なのが「カンニング」「替え玉受験」です。

それぞれ詳しく説明します。

カンニング

自宅でオンライン試験を受ける場合、手元の教科書や参考書などを使って情報収集されるリスクが非常に高くなります。いわゆるカンニングです。

試験監督が現場にいないのでどうしても不正が起こりやすく、この点はデメリットとも言えるでしょう。

替え玉受験

なりすましや替え玉受験も起こり得る可能性があります。

なりすましは、受験者に代わって誰かが試験を受けることで、自宅でのオンライン試験はカンニング同様そのリスクが高くなると言われています。そのため、大学受験ではオンライン試験を導入していない学校も少なくありません

もちろん、不正行為を防ぐための対策も行われています。

試験を厳格化するには、監視が必要

オンライン試験の不正行為を完全に防ぐことは困難ですが、軽減することは十分可能です。実際、次のような技術・手法を実運用している学校や企業も存在します。

具体的な対策法は、主に3つ挙げられます。

顔認証

顔認証には「試験開始前」と「試験中」に実施されます。

試験開始前は、顔写真+Webカメラを使い受験者の画像をAIが解析し、同一人物か確認します。自動的に照合するので手間もかからず、多くの受験者でも正確に判定してくれます。

オンライン試験にログインできるのは同一人物と判定された受験者のみなので、なりすましや替え玉受験が起こりにくく、安心安全に試験を実施できます。

なかでも「eKYC(electronic Know Your Customer)」は国家資格取得試験や重要性の高い試験で用いられています。

また試験中も顔認証が行われます。試験が終了するまで同一人物であることを確認されるため、途中で別人へ入れ替わる不正も防げるでしょう。

遠隔監視

Webカメラを使った遠隔監視も実施されています。その名のとおりWebカメラに受験者を映して監視するもので、怪しい動きをしていないかすぐに判断できます。なかには受験者の手元を関しているところもあり、リアルタイム+録画の2つで確認するのが特徴です。

人間だけでは見過ごしてしまう危険性もあるため、AIによる監視も行われています。

問題をランダム化

問題や選択肢をランダムに出題することで、カンニングが難しくなります

さらに、CAT(Computerized Adaptive Testing)と呼ばれる個別最適型テストも登場しています。このシステムは受験者の理解度に応じて問題が出題されるので、より安全性が高くなるでしょう。

今後普及が広がれば、オンライン試験での不正行為を完全に防ぐことも可能になるはずです。

オンライン試験を実施している団体

オンライン形式がとられている試験は、もちろん全国学力テストのみではありません。年月を重ねるごとに、いろんな団体がオンライン試験としてCBT形式を採用しています。

CBT形式を採用している試験の種類は、国家資格からあるジャンルに特化した検定までさまざまです。国家資格として代表的なのは、ITパスポート試験・基本情報技術者試験・電気工事士・アマチュア無線技士・証券外務員資格などが挙げられます。

一方、検定のなかでCBT形式を採用しているのは、日本漢字能力検定協会・実用英語技能検定・日商簿記検定・秘書検定などです。そのほかにも、世界遺産検定やカラーコーディネーター検定試験などの民間試験もCBT形式を採用しています。職業上必須となる資格からよりステップアップするための検定など、合格するための目的は問わず、さまざまな団体がテストのオンライン化の一環として、CBT形式でテストを行っています。

これだけCBT形式の試験が普及しつつありますが、認知度に比べ、CBTの受検経験がある人はまだまだ少ないようです。2021年に株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズが行った調査によると、回答者の約6割がCBTについて「知っている」と回答したにもかかわらず、実際にCBT形式である試験を受けた経験のある人は約3割に留まっているという結果になりました。

しかし、CBTの導入率は年々増加傾向にあるため、CBT受検者の数はこれからも増える見込みであるといえます。また、CBTの導入は国が推進している取り組みであるという背景も、増加傾向を促す要素となるでしょう。

国家資格や民間検定などに導入されることでクローズアップされがちですが、今後は入学試験や企業への入社試験など、より小規模な試験でもCBTが導入される見込みです。とくに入学試験では、すでにCBTの導入が進行中です。

たとえば、国立大学であれば東京外国語大学・京都工芸繊維大学・九州工業大学・佐賀大学などで導入例が出ています。また、私立大学でも、函館大学・神田外語大学などでCBTが導入されています。

各大学が導入理由として挙げていたのは、テストを通じた学力評価の強化や実施面でのメリットです。実施面でのメリットに関しては、新型コロナウイルスの感染対策の一環・全国規模の試験でも来学不要で受験可能となる利便性や、実施費用が削減できる点などが評価されていました。

今後も、国家資格や各検定などの大規模な試験から入試・入社試験などの小規模な試験まで、さまざまな団体がCBTをはじめとするオンライン試験を導入していくでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?近年広がっているオンライン試験の背景について紹介しました。

PCやタブレット端末の普及で少しずつ行われていたオンライン試験ですが、新型コロナウイルス感染拡大によって大きな広がりを見せています。コロナ禍が落ち着いた現在でも、導入している学校・企業は少なくありません。

しかし一方で、カンニングやなりすましといった不正行為も問題視されています。今回はその対策法についても触れていますので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

おすすめのオンライン試験システム比較表

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システム名Online Test Center(オンラインテストセンター)Remoty AI+リモートテスティング(Remote Testing)スマート入試OnVUEウィズダムベース(WisdomBase)エクサート(Excert)
特徴サービスはオンライン試験のシステムだけでなく、運営までお任せできるAIが不正を自動で検知し、オンライン受験の懸念点を解消するシステムが強み日本人に最適化された挙動検知AIが、あらゆる不正行為を見抜く2台の監視カメラと4つのAI機能で強固な不正監視を実現したオンライン試験徒歩0分の試験会場、自宅であっても安心・安全に受験できる6,000万通りの設定項目で、思い通りの試験を実現する教育事業者自身が提供するオンライン試験を提供
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