オンライン試験でChatGPT使った不正を防止する方法

オンライン試験の普及に伴い、ChatGPTを用いた不正行為が新たな課題となっています。このような不正を防ぐため、試験を実施する側は対策を取らなければいけません。この記事では、ChatGPTを使った不正の具体的な方法と防止対策について詳しく解説します。オンライン試験を実施する関係者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ChatGPTを使った不正

ChatGPTを利用した不正行為は、オンライン試験の信頼性を脅かす重大な問題となっています。具体的には、論述問題の解答文作成、選択問題の正解提示、計算問題の解決、さらには英文の翻訳まで、幅広い分野での不正利用が可能です。

このような状況下で、試験実施者は新たな対策を講じる必要に迫られています。ここでは、ChatGPTを使った代表的な不正を4つまとめました。

どのような不正があるか把握したい方は、ぜひチェックしてみてください。

論述問題の解答文の作成

ChatGPTを使用した論述問題の不正は、もっとも懸念される形態のひとつです。AIは与えられたテーマや問題文に対し、人間が書いたかのような説得力のある解答を数秒で生成できます。

たとえば「特定の主張に対する自身の意見を述べよ」といった問題でも、ChatGPTは論理的で構造化された回答を作成可能です。AIは膨大な情報をもとに適切な論点を挙げ、それらを支持する根拠を提示し、結論を導き出します。

この能力は人間の思考プロセスを模倣しているため、単純なチェックでは検出が困難です。さらにAIは個々の受験者の文体や知識レベルに合わせて回答をカスタマイズできるため、不正の発見をより困難にしています。

このような高度な不正行為は、論述試験の本来の目的である思考力や表現力の評価を著しく歪める可能性が高いです。

選択問題の解答を指示

ChatGPTを利用した選択問題の不正行為は、その迅速さと正確性において大きな問題のひとつです。受験者は問題文と選択肢をAIに入力するだけで、ほぼ瞬時に正解を得られます。

AIは、膨大なデータベースをもとに問題の文脈を理解し、もっとも適切な回答を選択するのが特徴です。たとえば、歴史や科学の事実に関する問題、文法や語彙の問題、さらには複雑な状況判断を要する問題でも、高い精度で正解を導き出せます。

とくにAIが誤った解釈をしないよう問題文を適切に整えれば、正答率はさらに向上します。

このような不正行為は、選択問題の本来の目的である知識の定着度や理解度の測定を無効化し、試験の信頼性を大きく損なう可能性が高いです。また、AIの利用が容易なため、多くの受験者が不正に手を染める可能性も高くなっています。

計算問題の解答を指示

ChatGPTは計算問題においても高い能力を発揮し、不正行為の手段として利用される可能性が高いです。簡単な方程式から複雑な数学的問題、さらには簿記や会計の計算問題まで、幅広い範囲で正確な解答を提供できます。

たとえば、数学の試験では方程式の解法や図形の面積計算など、手順を踏んだ解答の生成が可能です。また、経済や統計の問題ではデータ分析や予測モデルの構築までAIが行えます。

ただし、高度な問題や入力ミスがある場合、完全に正確な解答が得られない場合もあります。しかし、AIが提示する解答から部分的な情報を得て、受験者自身が正解を導き出すやり方も可能です。

このような不正行為は、計算能力や問題解決能力を測る試験の信頼性を著しく損なう恐れがあります。とくに数学や科学分野の評価においては、深刻な問題となるでしょう。

英文の翻訳

ChatGPTの英文翻訳能力を利用した不正行為は、言語試験においても問題となっています。AIは単なる直訳だけでなく、文脈や意図を理解した自然な翻訳を瞬時に実行可能です。

たとえば、TOEIC®やTOEFL®などの英語能力試験で出題される長文読解問題では、ChatGPTに英文と質問を入力するだけで、的確な日本語訳と解答を得られます。これは従来の翻訳ツールとは異なり、問題の本質を理解した上で回答を提供するため、より高度な不正となる可能性が高いです。

また、英作文問題においても、文法的に正確で自然な英文を生成できます。

このような不正行為は受験者の真の語学力を測ることを困難にし、言語試験の信頼性と有効性を大きく損なうリスクが大きいです。さらにグローバル化が進む現代社会において、正確な語学能力評価の重要性を考える必要があります。この問題の影響は教育分野だけでなく、ビジネスや国際交流の場面にも及ぶ可能性が高いです。

オンライン試験でChatGPTを使った不正を防止する方法

オンライン試験でChatGPTを使った不正を防止する方法としては、タブの移動を禁止させる、デスクトップの様子を監視する、受験の様子を監視官が遠隔で監視する、CBT方式を採用することが挙げられます。

ここでは、上記の4つの方法について詳しく解説します。

タブの移動を禁止させる

タブの移動を禁止する方法は、ChatGPTを使用した不正を防ぐ効果的な対策のひとつです。タブ移動を禁止にすれば、試験中にブラウザの他のタブやウィンドウへの切り替えを検知し、警告を発するか試験を強制終了させられます。

警告を無視して他のページの閲覧を続けた場合、システムは自動的に試験を終了させる措置も可能です。この方法はChatGPTへのアクセスを物理的に制限して、不正利用の機会そのものを排除できます。

さらに、タブ移動の試みを記録すれば不正の証拠としても活用可能です。

デスクトップの様子を監視する

デスクトップの監視は、ChatGPTを使用した不正を視覚的に捉える効果的な方法です。受験中のデスクトップ画面を定期的にキャプチャーし、不審な動きがないかを確認できるようになります。

たとえば、ChatGPTの画面が表示されていたり、問題文をコピーしてAIに入力している様子が捉えられたりした場合、それらの画像は不正行為の決定的な証拠となります。また、リアルタイムでのスクリーンショット撮影やビデオ録画を行えば、試験全体を通じての受験者の行動を記録可能です。

受験の様子を監視官が遠隔で監視する

ライブプロクタリングと呼ばれる監督官による遠隔監視は、ChatGPTを用いた不正を防止する効果的な方法です。Webカメラとマイクを通じて、受験者の様子をリアルタイムで監視できるようになります。

監督官は受験者の挙動や周囲の環境を観察し、不審な動きがあれば即座に警告を発することが可能です。たとえば、受験者が頻繁に画面外を見たりキーボードを不自然に操作したりする様子が確認された場合、ChatGPTを使用している可能性があります。

また、監督官は必要に応じて受験者とコミュニケーションを取り、状況の確認や指示を行えます。

CBT方式を採用する

CBT（Computer Based Testing）方式の採用は、ChatGPTを使用した不正に効果的です。

この方式を採用すると、受験者は指定された会場のコンピュータを使用して試験を受けなければなりません。さらに会場には監督官が常駐し、受験者の行動を直接監視するセキュリティが加わるため、自宅や職場のPCで受験する場合と比べて不正行為の可能性が格段に低くなります。

CBT方式では使用するコンピュータにインターネット接続の制限やソフトウェアのインストール制限を設けられるほか、ChatGPTへのアクセスの遮断が可能です。また、身分証明書による本人確認も厳格に行えるため、替え玉受験などの不正も防げます。

まとめ

ChatGPTを使用したオンライン試験での不正行為は、教育機関や企業にとって深刻な課題です。しかし、さまざま対策を適切に組み合わせれば、効果的な防止を実施できます。

タブ移動の禁止やデスクトップ監視などの技術的対策、ライブプロクタリングによる人的監視、そしてCBT方式の採用など、多層的なアプローチを行って不正行為を物理的に制限しましょう。