新型コロナウイルスの流行で、筆記試験を開催・受験するのが困難になりました。そこで導入されたのが「オンライン試験」です。インターネットが主流になってから一部の学校・企業では導入されていましたが、コロナ禍でいっきに導入が加速したのではないでしょうか。
そこで気になるのがオンライン試験の必要性です。導入することで、どんなメリットが得られるのでしょうか?またどんな課題があるのでしょうか?オンライン試験についてまとめてみました。
CONTENTS
オンライン試験とは
新型コロナウイルスの影響で、オンライン化を導入する企業や学校が増えました。それにより「オンライン○○」という言葉をあちこちで目にします。
インターネットが主流になっている昨今、オンライン試験と聞いてピンとこない方は少ないと思いますが、ひと言でいうとオンライン上で試験を受ける方法のことをいいます。
場所を選ばずPCやタブレットなどを使って試験を受けるので、人との接触を避け、安全性が高いのが特徴です。もちろん、ほかにもさまざまなメリットがあります。
ただ一方で、カンニングや替え玉受験など、オンライン試験ならではの問題も存在します。そのため、安心安全に開催するには主催者側と受験者側の理解も求められるでしょう。
オンライン試験のメリット
オンライン試験は、オンライン上でテストが受けられる以外にも、さまざまなメリットがあります。また導入することで幅が広がりやすく、不要なものをカットしながら効率よく試験を開催・受験できるでしょう。
ここでは主催者側・受験者側、それぞれの立場からメリットを紹介します。
コスト削減
通常、試験を受けるには会場・用紙・受験票を準備しなければいけません。なかでも受験票や問題用紙などの紙類は印刷・保管・廃棄が必要になるため、膨大なコストがかかってしまいます。
オンライン試験を導入すると、これらがすべて不要になります。ようするに、会場を用意したり、大量の用紙を印刷したり、コストが大幅にカットできるわけです。
また用紙を廃棄する必要もなくなるので、環境面でもメリットになるでしょう。
即時発表
従来の試験は、試験を受けたあと「採点」「結果集計」が必要です。そのため、どうしても合否までに一定の時間がかかってしまいます。
オンライン試験なら試験終了後、コンピューターで処理するだけでよいので、あっという間に採点・集計が完了します。試験によってはすぐに合否やスコアが表示されるところもあるでしょう。
データの一元管理
紙の試験の場合、一人ひとり採点し、結果集計も手動で行っていたため、膨大なデータ管理が必要でした。さらに試験データの分析・評価・活用も非常に大変です。
コンピューターを使うとすべてのデータが一元管理できるので、従来のように時間と手間がかかりません。またデータ抽出も簡単ですから、紙の試験では得られなかったデータ取得や分析活用も可能になるでしょう。
問題の種類が豊富
紙の試験のように、問題に限りがありません。音声や動画を使って出題することもできますし、画面上で操作することも可能です。語学試験で音声が使用されることは過去にもありましたが、それでも問題用紙には限界があります。
オンライン上ならこれまでできなかったことも導入できるので、問題の幅も広がり、新しい能力試験も実施できるようになるでしょう。
場所を選ばない
オンライン試験の一番のメリットといってもよいでしょう。
インターネットを介して試験を行うので、場所を選ばず開催・受験できます。災害が遭った場合でも、延期・中止になる心配がありません。とくに昨今の新型コロナウイルスのように会場での試験が困難になった場合、オンラインなら身の安全を守りながら試験を受けられます。
不測の事態に備えられるのは、オンライン試験の強みともいえるでしょう。
情報漏えいのリスク軽減
紙の試験の場合、取り扱ううえで人の手が必要不可欠です。会場への送付や問題の確認、さらには採点や集計もすべて人が行います。当然、問題紛失や情報漏えいの危険性が高くなるでしょう。
オンライン試験はPCやタブレットを使用するので、これらのリスクが軽減するだけでなく、問題や解答も暗号化され、学校や企業によっては高いセキュリティレベルが実現できます。
ただ一方で、カンニングやなりすまし・替え玉受験の問題が起こりやすいといわれています。
オンライン試験の課題
しかし、オンライン試験はメリットばかりではありません。手軽に実施・受験できる一方で、いくつかの課題を抱えています。
それが「カンニング」「なりすまし/替え玉受験」です。とくに自宅で試験を受ける場合、完全に不正行為を防ぐのはむずかしいでしょう。
カンニング問題
オンライン試験でも試験監督がいる少数の会場で行うこともできますが、自宅で受験する場合、やはりカンニング問題が気になります。実際、手元に教科書や参考書を置いて調べながら回答する事例もありますから、試験を実施する際は注意が必要です。
またこういった不正リスクを軽減するために、対策を行っているところもあります。
なりすまし・替え玉受験問題
なりすますや替え玉受験とは、受験者に代わって試験を受ける行為のことをいいます。試験監督がいない現場で起こりやすいため、自宅で試験を受ける際は注意が必要です。
大学での入学試験でオンライン試験がまだまだ難しいといわれている理由はここにあります。
問題の対策
不正行為を完全に防ぐのは困難ですが、ある程度であれば回避できるといわれています。その方法とは、顔認証やWebカメラによる遠隔監視などが挙げられます。
顔認証は試験開始前と試験中に実施することで「なりすまし/替え玉受験」の防止に役立ちますし、Webカメラによる遠隔監視はあやしい動きをチェックしカンニングを防ぎます。
なかには受験者の手元を映すケースもあります。さらにAIを利用導入すれば、AI+人間のダブル体制でより高い監視が期待できるでしょう。
某大学では実際に「本人認証付きオンライン試験」の導入を行っています。前述したとおり顔認証を行ってから試験を開始するので、不正が起こりにくく安心安全に試験が終了します。またレポート提出時やオンライン授業開始/終了の際にも、顔認証による本人確認の仕組みを実装しているのが特徴です。
オンライン試験を成功させるには
試験を円滑に進めるためには、不正対策以外にも気をつけなければいけない点がいくつかあります。事前にチェックしておくことで、主催者側も受験者側も気持ちよく試験を受けられるでしょう。
利用方法を知る
インターネットを介して試験を行うため、PCの使い方はもちろんのこと、インターネットについても理解しておく必要があります。とくに初心者は、扱いに慣れていないと結果に差が出てしまいます。
試験を始める前にICTを活用した教育を実施したり、試験の流れや操作方法をレクチャーしたりなど工夫してみてください。
サーバーダウンを防ぐ
インターネットを使用するので、一度に大勢がシステムに接続します。ここで起こりやすいのがサーバーダウンです。試験中に発生させないためにも、十分なサーバーを準備しておきましょう。
また試験当日は、万が一に備えて、サポート体制を整えておくことも大切です。
まとめ
オンライン試験は、紙を使った筆記試験とは違い、場所を選ばず遠方からでも自由に受験できることがわかりました。とくに昨今のように新型コロナウイルスで人との接触を避けなければいけない場面では、オンライン試験は非常に役立ちます。
しかし一方で、試験監督がいないデメリットも存在します。なかでもカンニングやなりすまし/替え玉受験などの問題は、完全に防ぐのがむずかしいといわれています。とくに大学の入学試験なんかは、まだまだ困難な状態です。
とはいえ、オンライン試験を導入すれば多様な問題を出題できたり、データを一元管理・集計できたり、情報漏えいなどのリスクが軽減できます。使い方の幅も広がりますから、必要性は十分高いといえるでしょう。